自分1人で車椅子を操作できなければ、押してくれる人が必要だ。では、誰が押してくれるのか。連れ合いだろうか。しかし、自分が老人なら、当然、連れ合いだって老いている。体力のない老人にとっては、車椅子を押して歩くのも重労働なのである。車椅子もたしかに1つの選択だが、車椅子の生活だけがわが身の将来というわけではない。がんばれば動けるうちから車椅子に頼ろうとするようでは、足腰がすぐに退化する。自ら進んで寝たきり老人になろうとしているようなものだ。
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私の祖母などは、歩けなくなってからも身の回りのことは自分ですべてこなしていた。滑りのよい絹の座布団の上に座ったまま、家のなかのあちこちに張った紐につかまって、器用に動き回っていた姿を今でも思い出す。嫁や孫にトイレまで連れていってもらうことなど「とんでもない」とばかり、最後まで自分で這っていった。考えてみれば、トイレに座るのだって、いちいち車椅子から乗り移るよりは、這いあがったほうが楽だろう。入浴だって、嫁に身体を洗ってもらうよりは、スノコの上を転がりながらでも自分で洗いたいものなのだ。